心臓からみた肥満の問題点
WHOは、「肥満は、最も目に見えて、しかしながら放置されている公衆衛生上の問題の一つである」と述べている。肥満は高血圧、高脂血症、糖尿病などを増加させ、また、心血管死を増加させるが、心臓の拡張、肥大にも影響を与えている。
アメリカの506名の住民調査で、高血圧もしくは肥満を有すると、左室が異常に拡張するオッズ比が上昇するが、この両者を合併した場合、そのオッズ比はさらに3.5にまで上昇する。これは心機能の悪化を反映していると考えられる。
では、なぜ、肥満があると心機能が悪化するのだろうか。これは、おそらく心肥大が原因であろう。Framinghan Heart Study においても、肥満が高度になるにつれ、心肥大が助長されている。20年前まで、心肥大は高血圧などに対する適応現象と考えられていた。しかし、心肥大を有すると心血管イベント、心血管死、総死亡は約2倍に増加する。一方、心肥大を退縮させると心血管イベントが減少することから、心肥大はやはり問題であることがわかる。
心不全になる原因については多くの説があるが、我々は虚血が原因ではないかとの仮説をたて、研究を行ってきた。その結果、肥大による血管新生がp53によって制御されることにより、虚血が引き起こされることが判明した。