専門医からの提言
脂肪細胞の大型化にはアンジオテンシンⅡが直接関係していると考えられ、ARBカンデサルタンにより、脂肪細胞は小型化し、TNF-α分泌は低下し、アディポネクチン分泌は上昇することが確認されている。ARBカンデサルタンのインスリン抵抗性改善作用はこのようなアディポネクチン増加作用が機序のひとつと考えられる。
近年、アンジオテンシンⅡはインスリン抵抗性にかかわるだけでなく、膵β細胞に作用し、インスリン分泌も障害することが確認されている。糖尿病モデルラットでは、膵島内AT1受容体発現が亢進しており、それを介した酸化ストレスの亢進が確認されている。
カンデサルタンはAT1受容体を強力に抑制することで、酸化ストレスを抑制し、糖尿病モデルマウスの膵β細胞容積を増加させた。また、同時に膵β細胞の繊維化、血管障害も改善した。この結果から、アンジオテンシンⅡはインスリン抵抗性を高めるだけでなく、インスリン分泌も障害し、糖尿病を発症・進展させているものと考えられる。
現在、糖尿病は世界中で急増しており、その予後の悪さを考えると、糖尿病を発症させない高血圧治療が強く求められる。CASE-Jの新規糖尿病発症予防の結果は、この問題にひとつの答えを示しているといえる。