CVD [Cardiovascular Disease] CVDの日本人のエビデンス集まる

BMI 肥満症とメタボリックシンドロームを科学する

レクチャーミーティングコメント

河盛 隆造先生
順天堂大学医学部
内科学・代謝内分泌学教授

このページをPDFでダウンロード

メタボリックシンドロームと糖尿病


拡大


拡大

糖尿病領域における肥満の問題点

肥満は糖尿病発症のリスクである。しかし、欧米に比べて我が国の肥満は軽度にもかかわらず、糖尿病の有病率は欧米とほとんど変わらない。同じ腹囲径ならば、欧米人よりも日本人の内臓脂肪量の方が多いことが、その理由のひとつとしてあげられるかもしれない。
肥満により脂肪細胞が大型化すると、脂肪組織において炎症が引き起こされ、肥大した脂肪細胞からアンジオテンシノーゲンやTNF-αが多く分泌され、アディポネクチンの分泌は減少することが知られている。

専門医からの提言

脂肪細胞の大型化にはアンジオテンシンⅡが直接関係していると考えられ、ARBカンデサルタンにより、脂肪細胞は小型化し、TNF-α分泌は低下し、アディポネクチン分泌は上昇することが確認されている。ARBカンデサルタンのインスリン抵抗性改善作用はこのようなアディポネクチン増加作用が機序のひとつと考えられる。 近年、アンジオテンシンⅡはインスリン抵抗性にかかわるだけでなく、膵β細胞に作用し、インスリン分泌も障害することが確認されている。糖尿病モデルラットでは、膵島内AT1受容体発現が亢進しており、それを介した酸化ストレスの亢進が確認されている。
カンデサルタンはAT1受容体を強力に抑制することで、酸化ストレスを抑制し、糖尿病モデルマウスの膵β細胞容積を増加させた。また、同時に膵β細胞の繊維化、血管障害も改善した。この結果から、アンジオテンシンⅡはインスリン抵抗性を高めるだけでなく、インスリン分泌も障害し、糖尿病を発症・進展させているものと考えられる。 現在、糖尿病は世界中で急増しており、その予後の悪さを考えると、糖尿病を発症させない高血圧治療が強く求められる。CASE-Jの新規糖尿病発症予防の結果は、この問題にひとつの答えを示しているといえる。

先生一覧

トップに戻る