腎臓領域における肥満の問題点
生活習慣の変化と高齢化により腎障害の成因と臨床意義が大きく変貌しつつある。腎機能障害や蛋白尿などの存在で定義づけられる慢性腎臓病(CKD)は、心血管イベントの強力な危険因子である。CKDの背景には、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、耐糖能障害などの生活習慣が広く存在している。とりわけ肥満はそれ自体で腎障害(肥満関連腎症)を来すだけでなく、既存の腎疾患の病態をも修飾する。
そして、CKDの問題は、CKDから末期腎不全、透析療法への移行だけでなく、CKDが脳卒中や心疾患などのイベント発症のリスクであることである。
腎障害は、高血圧や肥満、インスリン抵抗性を引き金とした糸球体内の血圧の上昇が大きな原因であることが知られているが、実臨床上では、糸球体内の血圧上昇を測定することは困難である。そこで、糸球体血圧を反映する指標としてアルブミン尿が用いられる。
また、現在の定義による正常値以下の少量のアルブミン尿が心血管病のリスク因子となり、アルブミン排泄量とリスク度には直線的な相関関係も示されている。すなわち、微量アルブミンの定義である30mg/gCr未満であっても、心血管病リスクが上昇するということである。生活習慣病から腎臓を保護するためには、130/80を目標とした降圧と、RAS抑制薬の使用、体重の適正化、タンパク摂取量の適正化とともに、糖代謝異常、インスリン抵抗性の是正が必要である。