CVD [Cardiovascular Disease] CVDの日本人のエビデンス集まる

BMI 肥満症とメタボリックシンドロームを科学する

レクチャーミーティングコメント

後藤 信哉先生
東海大学医学部医学研究科
内科学系教授

このページをPDFでダウンロード

肥満とアテローム血栓症

動脈硬化領域における肥満の問題点

近年、日本において心筋梗塞や脳梗塞などの虚血性疾患が増加している。これらの疾患の発症には、動脈硬化の形成、動脈硬化層の破綻、破綻部位における閉塞性・非閉塞性の血栓が混然と関与している。その意味でアテローム硬化と血栓の混在する病態をアテローム血栓症という概念で捉えられるようになってきた。さらにアテローム硬化巣の形成には血小板を主体とする血栓が、また血栓の形成には、炎症細胞が関与するとの観点を長いスパンで考えた場合にもアテローム血栓症と言うコンセプトには妥当性がある。
アテローム血栓性イベントリスクを持つ患者を対象とする国際前向き観察研究『Reach Registry』から、日本人は欧米人よりもBMI値、腹囲が少ない状態で同じ程度の糖尿病の合併を認めていることが明らかとされた。日本人における肥満の病的意義は欧米人よりも大きいと言える。また、Reach Registryにおける1年イベントデータから、イベント発症後、外来通院している安定している症例であっても、心血管死亡/心筋梗塞/脳梗塞の発症は4%を超え、時間経過とともに直線的に増加することが明らかとされている。イベント発症の意義からも糖尿病、高血圧、脂質異常症などのアテローム血栓症の直接的なリスク因子の管理の上でも肥満のコントロールが必須である。

専門医からの提言

いままで、我々循環器医の間では、冠動脈スパズムの観点から、長いあいだCa拮抗薬を中心とした治療が行なわれてきた。Reach Registryからも、世界の主体的な降圧治療にはβ遮断薬が使用されているのに比べ、日本においてはCa拮抗薬とARBの使用頻度が高いことが示されている。しかし、イベント発症頻度を世界と比較すると日本ではイベントの発症が低いことが明らかとされ、日本の治療実態が正しいことが示唆された。しかし、CASE-Jの結果から、冠動脈スパズムといった局所だけをみるのではなく、全身の血管内皮細胞や脂肪細胞などRA系の抑制を含めた全身的なマネジメントの重要性が明らかにされたと理解している。

先生一覧

トップに戻る